一見よさそうですが
「違いの分かる男」はネスカフェ ゴールドブレンドの広告でおなじみ(だった?)キャッチコピーですが、違いなんか分かる必要はないです。
違いが分かる=良いものと悪いものの区別がつく。と言うことなので一見よさそうな気もします。
ですが、違いが分かるという能力は、悪いものに気が付くことができる能力です。
本当に理想なのは「違いが分かる分からないに関係なく良いものでも悪いものでも満足できる男」です。
バカ舌とは何なのか?
違いが分からない味覚の持ち主のことを一般的に「バカ舌」と言います。
ちなみに似た言葉で、安いものでも満足する味覚の持ち主のことを「貧乏舌」と言います。
僕はこれに対してかなり疑問を持っています。
バカだの貧乏だの悪口を言ってますが、美味いもの同士を比較して優劣をつけて片方を貶める評価を付ける能力や“無駄に”高価なものを食べているというステータスを殊更自慢し他人を馬鹿にするような考え方が本当に必要なのか疑問です。
そもそも僕が考える本当のバカ舌は“情報”を美味いと感じて“情報”を不味いと感じる味覚の持ち主です。
味の事なんてわからずに情報に左右されて、中国産だから不味いとかメバチマグロだから美味いとかそんなことをいう連中はバカ舌だと思います。
昔ラーメン屋で読んだ漫画で「ラーメン発見伝」と言うのがあります。
試し読みがちょうど記憶に残ってるところなのでこちらを読んでみてください。
ヤツらはラーメンを食ってるんじゃない。
ラーメン発見伝の芹沢さん 第七杯 繁盛店の仕組み(全編)より
情報を食ってるんだ!
ラーメンハゲこと芹沢さんは良いこと言いますね。
舌が肥えるってどういうことなのか?
weblioの実用日本語表現辞典にはこう書かれています。
舌が肥える
読み方:したがこえる
美食に精通しており、味の良し悪しが分るさま。美味なものを好むさま。
https://www.weblio.jpより
辞書ではこんな感じで書かれていますが、おそらく裏の意味もおそらくあって、美味くないもの(満足できないもの)の範囲が大きいという意味もあります。(いわゆる貧乏舌の対義語)
普通に考えたらわかりますが、悪いものすら良いと思えた方が幸せです。
違いなんか分からずに全部美味いで何の問題もありません。
裏の意味を読み取ると舌が肥えるということの意味は「悪いものでは満足できない」と言うことになります。
特に食べ物に関しては高いもの=良いもの、安いもの=悪いものという考えが強く、安くて良いものを好む場合でもバカ舌扱いされることが多いです。
結果、高いものと安いものの違いが分かり高いものの方を好むと舌が肥えているという評価を受けがちになりますが、別にそれで得することは何もありません。
舌が肥えると満足するには高いものが必要になる
それが良いものかどうかに関係なく一般的な認識で舌が肥えている人が満足するには高いものが必要になります。
鰻、牡蠣、ウニ、マツタケ、フグ、ワイン、日本酒など一般的に価格も質もピンキリと言われているものは舌が肥えている人にとっては大問題です。
ワインなんかは特に値段の差が激しく安いものならグラスで100円からありますが高いとボトルで100万円したりします。
1億円のワインもあるらしい…ほかのサイトで見ると80万くらいだけど誰が買うの?
僕は鰻が大好きです
鰻屋さんをやってる親戚がいて昔から結構鰻を食べてきました。
一番好きな鰻屋さんは茨城県のなか川さんです。
文句のつけようがなくうまいです。一度行ってみてください。
そして、以前東京の某有名高級店で食べた鰻は泥臭く感じました。
ところがそこは有名人も頻繁に来るような高級店だそうです。
すき家のVisaのタッチ決済で50%還元をやっていた時にはすき家のうな丼を食べまくりました。(すきパスも使うと還元率ヤバすぎでした)
泥臭さが全くなく、50%還元ということもありましたが値段以上に満足できる逸品でした。
母が家で出してくれる鰻も非常に美味しく、買ってきた鰻を緑茶で煮て柔らかくして(泥臭さも消えやすい)たれは自家製のものを作っていました。
ここで何が言いたいかと言うと、僕は鰻に関しては味の違いが分かります。
値段や肩書に騙されずに味が判断できるので、本当の意味で舌が肥えていると言っていいでしょう。
でもこれが幸せなことかはわかりません。
幸いすき家のうな丼がおいしいので鰻が食べたければすき家に行けば満足できます。ただし超おいしい鰻が食べたい場合は茨城のなか川さんまで行かないといけません。
でも味の違いが分からなかったら…
すき家の鰻を超おいしいものとして近場の安い店で済ませることができます。
東京の某有名店で有名店でこの値段でこんな味なの?と落胆することもありません。
水を買うかどうか
本当かどうか知りませんが、水のきれいなところ出身の人は東京の水はまずくて飲めないそうです。
僕は会社ではウォーターサーバーがあるのでそれを使ったり家から安く買ったペットボトルのジュースとか持ってきて飲んだりしていますが、静岡出身の知り合いはよくミネラルウォーターを買っています。
家でも蛇口に浄水器を付けたりなんか色々そのまま飲まない工夫をやったりしているそうです。(地元ではそんなことしてないらしい)
僕はなんだかんだ東京の水をそのまま飲む機会はないのでどう味が違うのかわかりませんが、味の違いが分からなければ(情報で不味いと感じてるだけかもしれませんが)水道水で事足りるのに無駄な出費が出ています。
たかだか水にジュースとかお茶と同じ値段を払うなんて馬鹿らしいので味の違いなんてやっぱり分からないほうが幸せでしょう。
まあ僕もさすがにミネラルウォーターと水道水の味が違うのは同時に飲み比べれば分かりますが、水道水はまずくて飲めたもんじゃねえなとは思ったことは一度もありません。
まずくて飲めたもんじゃないと思ったのはイ○ン内のフードコートのウォーターサーバーから出てくる水くらいですね。
あれは水道水とかミネラルウォーターとか以前の話でウォーターサーバーの内部が汚いだけでしょう。
同じような話で新潟の人は東京の飲食店の米が不味く感じたり、北海道の人は東京の野菜や魚が不味く感じるそうです。
本当か?情報に毒されてるだけじゃないの?という疑問は常にありますが、本人たちが(本当に違いがあるかどうかにかかわらず)違いを認識してしまうのはメリットと言うよりは明らかにデメリットの方が大きいでしょう。
じゃあどうすればいいの?
舌が肥えている部分を矯正する必要はない
生きてきた中で自然と舌が肥えてきたものに関してはそのままでいいでしょう。
違いが分かる本当の意味での舌が肥えている状態なら高くて悪いものを判断して避けることができます。
そもそも違いが分かる状態をどうやって違いが分からなくさせるんだという話もありますが…
舌が肥えていないのであれば肥えさせるのはやめた方が良い
現時点で違いが分からないのであれば無意味に訓練する必要はありません。
理由は単純で舌が肥えることによるメリットはほぼなくデメリットだらけだからです。
メリットとデメリットはこんな感じ
メリット
- 違いを判断できるようになる
- 違いの分からない人にマウントを取れる
デメリット
- 学習コストがかかる
- 学習データが正確じゃない可能性が高い
- 満足できるものが少なくなる
メリットは違いが分かるようになる。です。
違いが分かったところで別にそれ以上のメリットはありませんが舌が肥えるという状態の最終目標はこれです。
ソムリエとかの味覚が大切な仕事についている場合は非常に役に立つでしょうが、それ以外ではクソの役にも立ちません。
あと、一応違いが分からない人にマウントが取れるようになる。というのもあります。
一流芸能人みたいにふるまうことができるのは一部の人にとってはいいことなんでしょう。
一方デメリットはまず学習コストがかかるということです。
違いが分かるようになるにはとにかく数をこなす必要があります。
学習データが少ないと学習に大した意味はありません。
そして用意するデータは最低でも「高くて良い」、「高いけど悪い」、「安くて良い」、「安くて悪い」のラベル付けが行われてないと意味がありません。
でもたいていの場合、こういった学習をするときに行われてるラベル付けは「高いから良い」、「安いから悪い」です。
理想のラベル付け
価格 | 本当の品質 | 学習する結果 |
安い | すごく良い | 超成功 |
安い | 良い | 大成功 |
安い | 悪い | 失敗 |
安い | すごく悪い | 大失敗 |
高い | すごく良い | 大成功 |
高い | 良い | 成功 |
高い | 悪い | 大失敗 |
高い | すごく悪い | 超失敗 |
現実のラベル付け
価格 | 本当の品質 | 学習する結果 |
安い | すごく良い | 悪い |
安い | 良い | 悪い |
安い | 悪い | 悪い |
安い | すごく悪い | 悪い |
高い | すごく良い | 良い |
高い | 良い | 良い |
高い | 悪い | 良い |
高い | すごく悪い | 良い |
要するに高いものと安いものの区別がつくことが正解とされます。
こんなガバガバな学習データで学習を行ってもろくな結果は得られないでしょう。
そして最終的に舌が肥えたところで待っているのは悪いものを悪いと判断できるようになる力だけです。
今まで食べていたの物は美味しくなかったんだと思ったり、こんな味じゃもう満足できないなあと思ったりすることにメリットはあるんですかね?
最後のまとめ
今回は、【バカ舌】違いの分かる男は不幸です。と言うタイトルで記事を書きました。
違いが分かるという能力は、悪いものに気が付くことができる能力です。
違いが分からない味覚の持ち主のことを一般的に「バカ舌」と言います。
似た言葉で、安いものでも満足する味覚の持ち主のことを「貧乏舌」と言います。
僕はこれに対してかなり疑問を持っています。
僕が考える本当のバカ舌は“情報”を美味いと感じて“情報”を不味いと感じる味覚の持ち主です。
味の事なんてわからずに情報に左右されて、中国産だから不味いとかメバチマグロだから美味いとかそんなことをいう連中はバカ舌だと思います。
舌が肥えるという言葉がありますが、この言葉の裏の意味を読み取ると「悪いものでは満足できない」と言うことになります。
特に食べ物に関しては高いもの=良いもの、安いものは悪いものという考えが強く、安くて良いものを好む場合でもバカ舌扱いされることが多いです。
結果、高いものと安いものの違いが分かり高いものの方を好むと舌が肥えているという評価を受けがちになりますが、別にそれで得することは何もありません。
値段や肩書に騙されずに味が判断できるのであれば、本当の意味で舌が肥えていると言っていいでしょう。
でもこれが幸せなことかはわかりません。
安くて多少悪いものであっても本人が満足できるのであれば高くていいものじゃないと満足できない人よりも幸せでしょう。
結局のところ、すでに舌が肥えているのであればそれを無理に矯正する必要はありませんが、現時点で別に舌が肥えていないのであれば無駄に訓練して違いが分かるようになる必要はありません。
そもそもかなり味覚が完成してから訓練していく場合、学習時のラベル付けが「高いから良い」、「安いから悪い」になりがちです。
こんな学習データで訓練しても何の意味もないので無駄なことはやらないようにしましょう。
そもそも舌が肥えたっていいことはほぼないですからね。
こんな記事も書いています。
書くところがなかったんでここに書いておきますが、サムネの画像はいつものところではなくTwitterから拝借させていただきました。
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